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電力広域的運営推進機関とは?

電力広域的運営推進機関(略称:広域機関)は、第5次電気事業制度改革(2013年~)によって、全面自由化と安定供給を両立する電力システム改革の一環として、日本の電気事業の広域的運営を推進することを目的として、2015年(平成27年)4月1日に設立された団体です。設立までの経緯とその役割、活動内容を説明します。

設立までの経緯

電力広域的運営推進機関とは?

赤が発電事業、青が送配電事業、緑が電力小売事業に相当。

電力の供給は、これまで原則として地域ごとに電力会社が管轄していましたが、2000年から始まった漸次的電気小売り市場の自由化によって、新たに電気事業に参入した企業も電力を需要家に供給できるようになりました。

これらの新電力業者(特別規模電力事業者(PPS))はしたがって、従来の電力会社と顧客を奪い合う競争相手となるのですが、その一方で、電力を供給するための電力系統を持っていないので、これを従来の電力会社から借りなければなりません。つまり競合企業でありながら、電力系統に関しては依存しなければならないため、対等の立場を維持するのは困難となります。

そこで、新電力が公平な条件で従来電力会社の電力系統を利用でき、健全な競争と安定した電気供給が行われるために考案された中立的機関が、電力系統利用協議会です。この協議会は2004年6月に経済産業大臣によって「送配電等業務支援機関」と指定され、以来、送配電等業務の円滑な実施を支援して来ました。

しかし、2011年の東日本大震災・福島第一原子力発電所事故によって計画停電が行われるなどの事態を受けて、全国規模で電力需給の調整機能強化を図る必要性が強く認識されました。電力の全面自由化が行われる際に安定供給が損なわれないよう、中立機関の権限を強化する必要が生じました。

そこで政府は、全面自由化と安定供給を両立する「電力システム改革」を段階的に進めることを決定。その第一弾として設立されたのが「電力広域的運営推進機関」です(これと同時に「電力系統利用協議会」は解散)。電源の広域的な活用に必要な送配電網の整備を進めるとともに、全国規模で平常時・緊急時の需給調整機能を強化する使命を担っています。

構成メンバーとその役割

電力広域的運営推進機関は、理事メンバーほか、総務、企画、計画、運用など7部門で構成されています。重要事項は全ての会員が参加する総会で決議されますが、中立性を確保するべく、総会の意思決定をはかる議決権の数は事業者のグループごとに均等に配分されることになっています。

このほか、学者・研究者、需要家・消費者などで構成される評議員会が置かれ、事業者以外の中立的立場による重要事項の審議を行ないます。

電気事業法の改正によって、日本の全ての電気事業者が機関の会員となること、そして運営に参画することが義務付けられています。現時点でこの対象になるのは「一般電気事業者(=電力会社)」「卸電気事業者」「特定電気事業者」「特定規模電気事業者(=新電力)」の4区分です。

電力広域的運営推進機関の会員構成
一般電気事業者 東京電力関西電力中部電力中国電力四国電力北陸電力
東北電力九州電力北海道電力沖縄電力
卸電気事業者 電源開発、日本原子発電
特定電気事業者 JR東日本、六本木エネルギーサービス、住友共同電力、
JFEスチール、クリエイティブテクノソリューション
特定規模電気事業者 新電力(PPS)200社以上、エネット、イーレックス、ダイヤモンドパワー、
サミットエナジーJX日鉱日石エネルギーF-Powerほか

事業内容

4月1日に発足したばかりの電力広域的運営推進機関ですが、中核業務である全国レベルでの需給調整機能を果たすための「広域機関システム」といった、大規模な情報通信システムの開発が開始されます。

電力広域的運営推進機関の広域機関システム
広域機関システム オフラインの計画業務からオンラインの運用、監視業務に至る一連の業務遂行に必要な
広域機関のメインシステム
スイッチング支援システム 需要家が電気を供給する事業者を変更する際の小売り-送配電事業者間の手続きを円
滑に図るためのシステム

今後は、広域機関が送電線の中立的運用や発送電設備増強の指導・勧告において、どこまで強い指導力を発揮できるかが、今後の自由化の成功いかんを握るカギとなりそうです。