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新電力のシェアは?

denkyu

電力小売市場の全面自由化後の新電力のシェアをめぐって、様々な予想が飛び交っています。実際に自由化されたら、どれくらいの低圧需要家が新電力との契約を行うのでしょうか? 現在までに出された調査結果を元に、検討してみました。

完全自由化前の新電力のシェア

2000年から徐々に自由化されてきた電力の小売市場ですが、すでに自由化されている特別高圧および高圧市場における新電力のシェアはどれくらいで推移しているかを見てみました。

資源エネルギー庁が発表している電力調査統計によると、2012~2014年の新電力のシェアは、以下のようになっています。

2012~2014年における新電力の特定規模需要の推移
種別/年 2012 2013 2014
特定規模需要 3,53% 4,17% 5,24%
うち特別高圧 3,56% 3,82% 4,18%
うち高圧 3,51% 4,45% 6,05%

上記の表からも伺えるように、新電力のシェアは年々拡大しています。しかもこの傾向は2015年にさらに加速する様相を見せています。資源エネルギー庁による2015年1月~8月の推移は以下の様になっています。

2015年1~8月新電力の特定規模需要の推移
種別/月 1 2 3 4 5 6 7 8
特定規模需要 5,82% 5,60% 5,72% 5,89% 6,42% 6,71% 7,71% 7,57%
うち特別高圧 4,24% 4,21% 4,16% 4,64% 4,88% 4,96% 5,36% 5,65%
うち高圧 データ無し データ無し データ無し 6,86% 7,73% 8,11% 9,54% 8,89%

このように2005年頃には2%にとどまっていた新電力のシェアは、着実にシェアを伸ばしています。2016年4月の全面自由化によってどれくらいシェアは伸びるか、注視されます。

完全自由化後の消費者動向予測

野村総合研究所が2015年8月に実施し、10月8日に発表した電力小売自由化の影響に関する調査によると、自由化で新電力に乗り換える要因は次のようなものが挙がっています。

  1. 価格(46%)
  2. 新電力の信頼度(15%)
  3. 切り替え手続きの容易さ(15%)
  4. 新電力のサービス実績(14%)
  5. 電力発生源が自然エネルギーであること(10%)

予想通り価格が乗り換えの最大要因となっていますが、果たしてどれくらい安くなると実際に乗り換える意向であるかを調査すると、次のような結果が出ています。

電気料金が5%減の場合は3%、10%の場合は16%が乗り換え意向

電気料金以外の要因を以下のように設定した場合、料金が5%低減されるなら新電力へ乗り換えるとした世帯は3%であったのに対し、10%低減の場合は16%と、5倍以上に跳ね上がることがわかりました。

  • 設定条件
  • エネルギー源:石油・天然ガス
  • 切り替え手続きの容易さ:携帯電話会社変更時と同程度
  • 安心感:多くの人が知っている大企業系新電力
  • 実績:1年未満(周りに新電力利用者が稀な状態)
新電力への乗り換え率
乗り換え率 平均 最高 最低
5%低減の場合 3,1% 3,8%(東京都) 2,6%(岩手県)
10%低減の場合 16,0% 16,9%(東京都) 14,7%(福井県)

なお、新電力乗り換え率は都道府県、年齢層、職業、経済力においても大きく変わることもわかっています。

都道府県別に見ると、料金が5%低減の場合乗り換え率が最も高いのは東京都で3.8%、最も低かったのが岩手県の2,6%。10%低減の場合は東京都の16,9%が最高で、最低は福井県の14,7%となっています。

全体として、乗り換え率は都市部で高く、田園地域では低い傾向を示していますが、都道府県差は5%低減時よりも10%低減時の方が小さくなっていることが注目されます。

また、年齢別では高齢者層で乗り換え率が低く、職業では金融、通信、不動産分野で働く人で高く、第一次産業、建設、製造業などで低い傾向が見られます。

経済要素を見ると金融資産が1億円以上の富裕層では低いのに対し、5千万~1億円の準富裕層では高いという結果が出されています。

完全自由化初年度の乗り換え率は1%

富士経済が2015年7月にまとめた電力市場完全自由化後の市場動向についての調査は、一般家庭など低圧分野のシェアの推移を以下のように予想しています。

自由化後の低圧市場における新電力シェア予測
種別/年 2016 2017 2018 2019 2020
シェア 1% 2,5% 4,5% 7% 10%

同調査は、新電力にとって低圧分野への進出は、運用管理システムの導入やコールセンターの設置、人員の拡充といった事業環境の整備に費用と時間がかかるため、シェアの伸びは2020年で10%程度と予測。完全自由化後も新電力は効率よく展開できる業務分野での事業を優先するとの判断を示しています。

今後の動向が注目されます。