燃料費調整額が電力会社によって違うの知ってた?| なぜ?理由と仕組み・上限・確認方法を徹底解説

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燃料費調整額が電力会社によって違うの知ってた?| なぜ?理由と仕組み・上限・確認方法を徹底解説

電気料金をよくチェックしている人、敏感な人はご存じの通り、燃料費調整額は電力会社によって異なります。

この記事では、 燃料費調整額の違いについて解説します。

話は聞いたことがあるけれど詳しく知らなかった方も、すっきり理解できるよう丁寧に説明していきます。

【確認!】電気料金には規制料金プランと自由料金プランがある

現在、電気料金プランには、「規制料金プラン」と「自由料金プラン」が存在します。電力の自由化以降、規制料金に加えて自由料金が登場した形になります。

規制料金というのは、大手電力会社がその地域で提供する「従量電灯プラン」を指します。この規制料金プランに関しては、経済産業省が内容や単価の改定を認可する必要があります。大手電力会社は、定められたルールに則って、料金を決めなくてはいけません。

大手電力会社とは?

北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力のこと。電力自由化前からあり、それぞれの電力エリアで独占的に電気の供給をしていた電力会社。
これ以外、電力自由化後に参入した電力会社は「新電力」と呼ばれる。

一方、自由料金プランに関しては、決まったルールはなく、各社が自由に料金を設定できます。大手電力会社でも、他の管轄エリアで電気料金を提供しているケースがありますが、これは規制料金に該当せず、自由料金になります。

上記が確認できたなら、「燃料費調整額が電力会社によって違う理由」が簡単に理解できます。

関連記事: 従量電灯プランはどのような電気料金プランなのでしょうか? - 従量電灯の意味を解説

燃料費調整が異なる理由  | 新電力は自由に設定可能だから

大手電力会社と新電力の燃料費調整額が異なるのは、新電力には、燃料費調整額を設定するルールが定められていないからです。基本料金や従量料金が大手電力会社と異なり、自由に設定していいのと同様に、燃料費調整額も自由に設定できるのです。

規制料金プラン以外で燃料費調整額が各社で異なる理由は、まさにこれです。

このため、名称も、「燃料費調整額」ではなく、似ているが異なる名前がつけられてることが多くあります。

ただし、新電力も、毎月気まぐれに燃料費調整額に該当する単価を決めているわけではなく、一定の計算式に沿って計算しているのが一般的です。

加えて、新電力の中でも、この燃料費調整額の設定を大手電力会社と同じに設定しているところもあります。

燃料費調整が異なる理由  | 大手電力会社の間で料金が違う理由は2つ

大手電力会社の規制料金プランにおける燃料費調整制度の枠組みは資源エネルギー庁が定めた共通ルールに基づいています。

では、大手電力会社でも、それぞれ「燃料費調整額が異なるのでしょうか?」それは、実際の計算に使うパラメータは各電力会社によって違うためです。

具体的に見てみましょう。

① 「基準燃料価格」が大手電力会社間で異なる

燃料費調整額の計算の「ゼロ地点」にあたる基準燃料価格は、電力会社が過去の燃料調達実績や発電設備の特性をもとに独自に設定しています。この基準が高ければ調整額がマイナスになりやすく、低ければプラスになりやすい。同じ燃料価格でも、基準が違えばプラス・マイナスの幅も変わります。東京電力の基準燃料価格は86,100円/kl(規制料金)ですが、九州電力は27,400円/klと大きく異なり、燃料価格の変動が単価に与える影響も変わってきます。

② 大手電力会社間で燃料構成(電源ミックス)が異なる

燃料費調整額の算定には石炭・LNG・原油の3種類の燃料価格が使われますが、各電力会社がどの燃料をどのくらいの比率で使っているかは大きく異なります。LNGの使用比率が高い会社はLNG価格の高騰に敏感で、石炭主体の会社はその影響を受けにくい傾向があります。また、原子力発電や水力発電など、燃料を使わない発電の比率が高い電力会社では、燃料費調整額の変動幅が比較的小さくなります。

関連記事: 関西がうらやましい・・・中部電力の電気代は他県より年間1万円以上高い?原発が動けば本当に電気代は安くなる?

大手電力会社・規制料金の燃料費調整単価比較

旧一般電気事業者(大手10社)の規制料金で使われる算定パラメータを比較すると、電力会社ごとの違いが数字で明確になります。

具体的にみていきましょう。ここでは、2026年3月時点での数字を引用しています。

関西電力や九州電力の数値が他社より極端に低いのは、燃料費の高い火力発電への依存度が低いためです。

電力会社 基準燃料価格(円/kl) 基準単価(円/kWh) 上限(平均燃料価格)(円/kl)
北海道電力 80,800 0.173 121,200
東北電力 83,500 0.197 125,300
東京電力EP 86,100 0.183 129,200
中部電力ミライズ 45,900 0.233 68,900
北陸電力 79,800 0.165 119,700
関西電力 27,100 0.165 40,700
中国電力 80,300 0.212 120,500
四国電力 80,000 0.154 120,000
九州電力 27,400 0.136 41,100
沖縄電力 81,500 0.273 122,300

出典:資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」(各社の規制料金プランにおける算定パラメータ)。数値は規制料金プランのものであり、自由料金プランでは異なります。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。

たとえば東京電力(基準86,100円/kl)と九州電力(基準27,400円/kl)を比べると、基準燃料価格が約3倍も異なります。この差は燃料の種類の違い(LNG比率、石炭比率など)と、それぞれの発電設備の効率性や調達構造の違いを反映しています。

📌 エリアをまたいで契約する場合の注意

東京電力エナジーパートナーや大手新電力の一部は、自社エリア以外でも電気を供給しています。その場合、規制料金ではなくなります。このため、その会社独自の燃料費調整単価が適用されます。同じ地域の大手電力会社の単価とは異なることを理解しておきましょう。

そもそも燃料費調整額とは?基本の仕組み

そもそも大手電力会社が定めている燃料費調整額とは何か?そして、何のために設けられているかを確認してみましょう。

電気料金の構成と燃料費調整額の位置づけ

まずは、毎月の電気代の中身を確認してみましょう。内訳は、一般的に次の項目の合計で算出されています。

  
項目 内容 変動の有無
基本料金/最低料金 契約アンペアに応じた固定費/アンペア契約ではなく固定の最低料金 固定(プランを変更しない限り変わらない)
電力量料金 使用したkWh×単価 使用量に応じて1kWhあたりの単価変動
燃料費調整額 燃料価格の変動分を電気代に反映 毎月変動
再エネ賦課金 再生可能エネルギー普及のための費用 年1回改定(全社共通)

このうち燃料費調整額は、電力会社が電気を作るために使う石炭・LNG(液化天然ガス)・原油の価格変動を毎月の電気代に反映させるための仕組みです。電力会社は燃料を外国から大量に輸入しており、その価格は国際情勢や円相場によって毎月変わります。

昨今の中東問題により、石油が手に入りにくくなると、石油の価格があがり、連動してLNGの価格もあがります。

もし電気料金が完全に固定されていたとすると、燃料が急騰した際に電力会社が赤字を抱え続けることになります。その逆に燃料が安くなっても消費者に還元されません。この不均衡を解消するために、1996年1月に経済産業省(資源エネルギー庁)が「燃料費調整制度」を導入しました。

電気だけでなく、同様の調整額が、「原料費調整額」として、都市ガスにも採用されています。

燃料費調整額は、プラスになったりマイナスになったりする

燃料費調整額がいつでもプラスというわけではありません。マイナス▲となっていることもあります。今までの所、毎月マイナスが続いています。

これはなぜでしょうか?実は、燃料費調整額の方向は、シンプルなロジックで決まります。

「基準燃料価格」とは、各電力会社がプランを設定した際に定めた燃料価格の基準値(ゼロ地点)のことです。燃料が基準より高ければ差額分だけ電気代に上乗せされ、基準より安ければ差額分だけ電気代が割り引かれます。

例えば、明細に「燃料費調整額:▲1,200円」と記載されていた場合、その月の燃料価格が基準を下回り、1,200円の割引が適用されているということです。

燃料費調整額はどうやって計算される?

燃料費調整単価の計算式は、大手電力会社の規制料金では、共通の次の式で算出されます。

燃料費調整単価の計算式(旧一般電気事業者・規制料金)

燃料費調整単価(円/kWh)
=(月の平均燃料価格 − 基準燃料価格)× 基準単価 ÷ 1,000

東京電力「従量電灯B」の2025年11月分の燃料費調整額を例に確認しましょう。

東京電力の基準燃料価格は86,100円です(2026年3月時点)。

2026年3月分の燃料費調整額に反映されるのは、2025年10~12月の貿易統計価格です。当期間の貿易統計価格から計算された平均燃料価格は44,600円でした。

平均燃料価格が基準燃料価格よりも低いため、マイナス調整となり、燃料費調整単価は-7.59円となります。

東京電力「従量電灯B」の燃料費調整額(2026年3月分)
基準燃料価格 86,100円
平均燃料価格
(2025年6~8月の貿易統計価格に基づく)
44,600円
燃料費調整単価 -7.59円

そして毎月の電気代に含まれる燃料費調整額は次のように計算されます。このように、その月に使用したトータルの電力使用量も、払う額に影響します。

🧮毎月の燃料費調整額

燃料費調整額 = 燃料費調整単価(円/kWh)× 月間使用電力量(kWh)

【ポイント】3〜5か月のタイムラグがある。今のコストがすぐに反映されるわけではない!

燃料費調整単価の計算に使われるのは、実際に電気を使用した月より3〜5か月前の燃料価格の平均です。たとえば、5月分の電気料金には、前年12月〜2月の貿易統計に基づく平均燃料価格が使用されます。
ニュースで「原油高騰」と報じられても、それが電気代に反映されるのは数か月後。

こうしている今も、原油の価格が話題になっていますが、現段階では慌てる必要はありません。まだ、時間的に猶予があります。

燃料費調整額が決まるタイムラグを表した図
燃料費調整額のタイムラグを視覚的に表すと上記の図のようになる

燃料費調整額:タイプは大きく分けて3つ!

冒頭で、燃料費調整額が異なる理由について説明しました。どのように違うのか、大きく分けると3つのタイプがあります。

  1. 大手電力会社の規制料金プラン:燃料費に上限あり
  2. 大手電力会社および多くの新電力の自由料金プラン:燃料費に上限なし
  3. 一部の新電力の自由料金プラン:独自の算定ルール「独自燃調型」

① 大手電力会社の規制料金プラン:燃料費に上限あり

  • 大手電力の規制料金プラン(従量電灯)が対象
  • 燃料価格が上限に達すると超過分は加算されない
  • 上限は基準燃料価格の約1.5倍が目安
  • 急騰時でも電気代が青天井にならず安心
  • 燃料が安くなっても下限なしで恩恵は受けられる

【解説】:規制料金プランとは、電力の自由化以前から提供されてきた大手電力会社の従来型プランです。東京電力の「従量電灯B/C」や関西電力の「従量電灯A」などが該当します。

このプランでは、電気料金だけでなく燃料費調整額にも法律上の上限が設定されており、燃料価格がどれほど高騰してもその上限を超えた分は電力会社が負担します。たとえば、東京電力の規制料金における平均燃料価格の上限は129,200円/kl(基準燃料価格86,100円/klの約1.5倍)に設定されています。

急騰時のリスクを抑えたい方、電気代の変動を最小限に管理したい方には安定感があります。ただし、上限に達する状況が続くと電力会社側の経営を圧迫し、中長期的には値上げにつながる可能性もあります。

② 大手電力会社および多くの新電力の自由料金プラン:燃料費に上限なし

  • 大手および多くの新電力の自由料金プラン
  • 計算式は大手と同じでも上限がない
  • 燃料価格が高騰すると規制料金より高くなるリスク
  • 平時は規制料金と同水準

【解説】:電力自由化以降に生まれた新電力のプランや、大手電力会社が新たに設けた自由料金プランの多くは、実は同じエリア内の大手電力会社の規制料金プランと同じ方法を踏襲して燃料費調整額を算出しています。ですが、燃料費調整額に上限を設けていないことが規制料金プランとの大きな違いです。

上限がないということは、燃料価格が高騰すれば規制料金プランの上限を超えてさらに電気代が上がるリスクがあります。2022年には、ロシア・ウクライナ情勢による燃料価格の急騰でこのタイプのプランの電気代が規制料金プランのそれを大幅に上回る事態となりました。

ただし燃料価格が著しく高い時期を除いては、燃料費調整額は同じエリアにある大手電力会社の規制料金プランと同額です。これらのプランは基本料金や電力量料金が規制料金プランよりも安く設定されていることが多いため、通常時は規制料金プランよりも電気代を削減しやすくなっています。

③ 一部の新電力の自由料金プラン:独自の算定ルール「独自燃調型」

  • 「電源調達調整費」「市場価格調整額」などの名称
  • 卸電力市場(JEPX)の価格と連動することが多い
  • 基本料金・電力量料金が安く見える傾向
  • 市場価格急騰時に請求額が大幅に増えるリスクあり
  • 仕組みが複雑で他社との比較が難しい

【解説】:「独自燃調型」は、①とはまったく別の算定方法で燃料費調整額を計算しています。中でも多いのは、日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格変動などを独自に加算する仕組みを持つプランです。「電源調達調整費」「市場価格調整額」など会社によって異なる名称をつけているケースも多いため、一見すると通常の燃料費調整額と区別がつきにくいのが特徴です。

注意 楽天でんきなど多くの主要新電力でも、過去に上限が撤廃されたり独自の調整制度へ移行したりした事例があります。契約前に必ず約款・重要事項説明書で上限の有無を確認してください。👉確認方法⇒契約時の重要事項説明書・約款の「料金の算定」欄をチェックする

自分の燃料費調整単価を確認する方法

「自分が今いくら払っているのか」を知ることが、賢い電力会社選びの出発点です。確認方法は2つあります。

方法①:電気料金の明細書を確認する

紙の検針票・Web会員ページのどちらにも「燃料費調整額」の項目があります。次のような形で記載されています。

方法②:電力会社の公式サイトで検索する

最も確実なのは、契約している電力会社の公式サイトで最新の単価を確認する方法です。比較サイトやまとめサイトは情報が古い場合があるため、公式サイトを優先してください。

乗り換え前に必ず確認したい5つのチェックポイント

燃料費調整額の単価だけを比較して電力会社を乗り換えると、後で「電気代が思ったより下がらなかった」「逆に高くなった」と後悔するケースがあります。電気料金はトータルで比較することが重要です。乗り換え前に必ず次の5項目をセットで確認しましょう。

  • 基本料金・電力量料金——プラン本体の単価。
  • 燃料費調整額の算定方法と上限の有無——規制料金か自由料金か、上限があるかどうかを確認
  • 独自燃調(電源調達調整費・市場価格調整額)かどうか——明細に見慣れない調整費がないか確認
  • 燃料費等調整額の仕組み——燃料費調整と市場連動が合算されている複合型プランかどうか

⚠ だけど・・・自分で計算するのは難しい!

しかしながら、すべての要素を加味し、自分で計算をして各社の電気料金を比較するのは困難です。

セレクトラでは、燃料費調整も含めた額で毎月各社の電気料金を比較しています。今安い電力会社はどこなのか?確認したい方は是非、「地域・世帯人数別:電気代が安い新電力ランキング」をチェックしてみてください。毎月更新をしています。

よくある質問(FAQ)

Q 燃料費調整額がマイナスになるのはなぜですか?

直近の平均燃料価格が、電力会社の設定する基準燃料価格を下回った月に発生します。原油安や円高が進んだ時期にマイナスになりやすく、その場合は電気代から差し引かれます。明細に「▲◯◯円」または「−◯◯円」と表示されていれば、その金額だけ電気代が安くなっています。なお、政府の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による補助金が適用されている月も、明細上でマイナス調整に見える場合がありますが、これは燃料費調整額とは別の制度によるものです。

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Q 新電力に乗り換えると燃料費調整額は必ず高くなりますか?

必ずしもそうではありません。新電力の中には、大手電力会社と同じ計算式を採用している標準型のプランもあります。ただし上限が撤廃されているプランや独自燃調型のプランは、燃料価格が高騰した際に大手の規制料金より高くなるリスクがあります。乗り換える前に、そのプランの燃料費調整額の算定ルールと上限の有無を確認することが大切です。

参考ニュース・資料

 

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