ガス業界の歴史

ガス業界の歴史

日本ガス業界の歩み

明治期~世界恐慌

日本のガス業界の歴史は、1872(明治5)年に横浜にガス製造所が作られ、ガス灯の照明を行ったことに始まります。続いて1874(明治7)年には、神戸瓦斯(1945年4月大阪ガスに合併)がガス事業を開始。いずれも、もっぱら照明用に使用されました。それから2年後の1876年(明治9年)には東京府瓦斯局が設立され、1885(明治18)年に東京府からの同局払い下げにより、現在の東京ガスの前身となる東京府瓦斯会社が創立されています。

東京ガス

1904年頃の東京府瓦斯会社の広告。

大阪瓦斯が設立された1897(明治30)年以降になると、より明るいガスマントルの輸入によってガス灯が普及する一方で、コンロ、かまど、焼物器、湯沸器、アイロン、ストーブといった現代のガス機器の原型ともいえる機器の輸入、そしてこれらの国産化が進み、ガスの需要は照明から徐々にガスの熱を利用した調理用、暖房用に移行していきます。

このようにガスの利用法が変化したことで、日本のガス事業(後の都市ガス)は明治30年代に入って、飛躍的に伸びていきました。ガスの供給開始は1905年(明治38年)で顧客数3351戸と言われています。

さらに、日露戦争(1904-1905)頃から重工業が盛んになり、1910年(明治43年)には10社であったガス会社の数は、1915年には91社と急速に増えて行きます。 この増加傾向は第一次世界大戦後の不況によって一時ストップしますが、昭和になると、都市郊外にも供給地域、ガスを利用する人たちが増えてき、これらの需要家向けにガス会社が徐々に増えてきます。

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戦中~戦後

ガス灯

ガス需要はガス灯から調理・暖房用に変化。

戦時中は、中小の各地のガス会社をひとつの大きなガス会社に合併していこうという国家政策により、いろいろなガス会社が大手ガス会社と合併するようになります。小規模のガス会社は空襲などで設備面でも打撃を受け、自力で存続することが難しかったという面もあります。こうしてガス会社はふたたび減少していき、第二次世界大戦時には約75社ほどまで減ることになります。

もっとも戦後になると戦前と同じように郊外に住宅地が広がり、需要増加に合わせてガス会社も増加していきます。オイルショックのころには全国に200社以上、最盛期の1976年には255社を数える都市ガス会社があったと言われています。

今現在は合併などを経て、非常に小規模なものから、関東の東京ガス、東海地方の東邦ガス、関西の大阪ガス、九州地方の西部ガスといった大手4社を含む大規模なものまで合わせて209社(私営181社・公営 28社)の都市ガス事業者が存在します。この点が、大手10社が全国を地域別に独占支配している電気業界と一番大きく違うところです。

その他に電気業界と異なるのは、簡易ガス事業、LPガス販売事業の存在でしょう。

ガス業界の歴史

LPガスのボンベ

簡易ガス事業は、1970年に改正・施行されたガス事業法改正によって創設されました。これは、当時、都市周辺部で住宅団地の造成が急激に増え始め、これらの団地にLPガスを導管で供給する「導管供給方式」が各地で採用されるようになった状況を受けて、70戸以上の団地に対する導管供給事業を、公益事業としてガス事業法の対象としたものです。

設備が簡便で需要に速やかに応じることができることが特徴で、事業許可や料金等の供給条件の認可を受ける必要がある点は一般ガス事業と同様ですが、一般ガス事業と異なり、供給計画の作成・届出や毎年の事業監査はなく、ガス料金の算定も簡易な方法が採用されています。

現在、減少傾向にあるとは言え、2013年3月時点で全国に1452の簡易ガス事業者があり、需要家数は140万件を数えます。

LPガス販売事業は、石油製品の元売事業者等がタンクローリーで充填所へ輸送した液化石油ガス(LPガス)を、充填所から需要家に対して、シリンダー等により輸送・供給する事業です。

ガス事業法ではなく、1967年に成立した液石法に基づいて事業の登録が求められます。ただし、事業認可や供給区域の許可、料金等の供給条件の認可は課せられませんので、自由料金制です。

また、導管を通じて供給する場合であっても需要家数が70戸未満の場合は簡易ガス事業ではなくLPガス販売事業となります。2013年3月時点での事業者数は21052を数え、需要家も2400万件と、販売比率では一般ガスの65,0%に次ぐ34.3%を占めています。

LPガス事業者のなかには2016年4月の電力小売り完全自由化に向けて、ガスト電力のセット販売などで電力市場に参入しようとしている企業も出てきています。

ガス市場の自由化へ

1995年(平成7年)以降、4次にわたる制度改革において段階的な小売部分自由化等の施策が実施されています。 今後は、2017年(平成29年)4月から行われるガスの小売全面自由化に伴う一般電気事業者制度の見直しと合わせて、 ガスシステム改革において現行のガス事業法の事業類型も見直されていく予定です。

ガス事業における制度改革の経緯

現行法であるガス事業法は、戦後、1954年(昭和29年)に制定されました。1995年以降、4回の制度改革を経て今日に至っています。その主な経緯は以下のようなものです。

第1次制度改革(1995年)

  1. 1995年3月からガス小売の部分自由化(大口供給:年間契約数量200万㎥以上)。
  2. 原料費調整制度の導入。

第2次制度改革(1999年)

  1. 1999年11月から小売自由化の範囲を100万㎥以上にまで拡大。
  2. 託送供給制度の法定化(大手都市ガス4社に託送供給約款の作成を義務付け)。
  3. 料金規制の見直し(規制部門の料金引下げを認可制から届出制へ)。

第3次制度改革(2003年)

  1. ガス導管事業の創設(公益特権の付与、幹線的なガス導管事業に対する投資インセンティブを確保)。
  2. 託送供給制度の充実・強化(託送義務をすべての一般ガス事業者及びガス導管事業者に拡大、託送供給部門の公平性・透明性の提供)。
  3. 2004年4月から小売自由化範囲を50万㎥以上まで拡大。

第4次制度改革(2006年)

  1. 2007年4月から小売自由化範囲を10万㎥以上まで拡大。
  2. 簡易な同時同量の導入。
  3. 一般ガス事業供給約款料金算定規則の改正(託送供給部門原価に「低圧導管原価」を追加)、託送供給約款料金算定規則の改正(低圧導管・中圧導管を区分した料金設定、減価償却費計算における使用実績に応じた償却費の算出)。

第5次制度改革(2015年~)

2014年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画では、市場の垣根を撤廃し、電力システム改革と併せて、ガスシステム改革及び熱供給システム改革を一体的に推進することが合意されました。これを反映して、2015年6月17日に成立した電気事業法等の一部を改正する等の法律案では、ガス事業法関係の改革内容として、以下の内容が組み込まれています。

小売参入の全面自由化

  1. 家庭等へのガスの供給の自由化。
  2. 自由化に伴う事業類型の見直し。
  3. LNG基地の第三者利用に係る規定の整備。

ガス導管網の整備

  1. 導管事業への地域独占と料金規制の措置。
  2. 事業者間の導管接続の協議に関する命令・裁定制度。

需要家保護と保安の確保

  1. 経過措置としての小売料金規制に係る措置(経過措置の解除に当たっては競争の進展状況を確認)。
  2. 一般ガス導管事業者による最終保障サービスの提供。
  3. ガス小売事業者に対する供給力確保義務、契約条件の説明義務等。
  4. 保安の確保。

法的分離による導管事業の中立性確保

  1. 兼業規制による法的分離の実施。
  2. 適正な競争関係を確保するための行為規制の措置。

検証規定

電力・ガス取引監視等委員会の設立

  1. 独立性、高度な専門性を有し、電力・ガス・熱の取引の適切な監視及び行為規制の実施等を業務とする「電力・ガス取引監視等委員会」を設立。
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