IHクッキングヒーターの電気代はどのくらい?ガスとどちらがいい?
一般的に、オール電化にすると電気料金を安く抑えることができると言われていますが果たして本当なのでしょうか。電力会社によってオール電化の電気料金プランはそれぞれ異なります。ここではオール電化向け電気料金プランについて紹介します。
目次
オール電化向けプラン
大手電力会社はそれぞれオール電化向けのプランを用意しており、オール電化にした方が使い勝手が良くお得になると謳っています。しかしその一方で、オール電化にすると設置や維持費にお金がかかることから、お得に感じられない人も中にはいるようです。ここでは、オール電化向けプランの詳細をご紹介しながら、オール電化にすると本当にお得なのか探っていきます。
まずは電気供給エリアごとのオール電化向け料金プランを紹介します。
電力供給エリア | オール電化向け料金プラン |
---|---|
東京エリア | スマートライフプラン(東京電力) |
関西エリア | はぴeタイム(関西電力) |
北海道エリア | eタイム3(北海道電力) |
東北エリア | よりそう+シーズン&タイム |
北陸エリア | エルフナイト10 エルフナイト10+(北陸電力) |
中部エリア | 該当プランなし |
中国エリア | ぐっとずっと。プラン電化styleコース(中国電力) |
四国エリア | スマートeプラン(四国電力) マドンナプラン(坊っちゃん電力) |
九州エリア | スタンダードオール電化(ナンワエナジー) |
沖縄エリア | Eeらいふ(沖縄電力) |
オール電化の電気料金プラン
多くの大手電力会社はそれぞれオール電化向けの電気料金プランを用意しています。ここでは、東京電力のオール電化料金プランを紹介します。
東京電力のオール電化料金プラン
東京電力では、「スマートライフプラン」というオール電化料金プランを用意しています。
スマートライフプランとは、基本料金はスマート契約によって決まるプランです。スマート契約とは、過去一年間で電力容量が最大であったスマートメーターの値を契約内容として採用する契約システムです。
スマートライフプランの基本料金は、1kWhあたり450.00円となります。したがって、過去一年間で電力容量の最大値が5kWhだった場合、その年の基本料金が450×5=2,250円となります。
通常東京電力のメイン契約である従量電灯Bにおいては「アンペア制」が導入されており、使用する電力量によって電気料金は3段階に分かれています。しかしスマートライフプランは時間帯によって電気料金が変わる仕組みをとっており、特に深夜は安い料金設定がなされています。
したがって、生活スタイルが夜間中心の都市型スタイルの方であれば、従量電灯Bプランよりも電気料金を安く抑えることができます。
契約アンペア数 | 基本料金(円・税込) |
---|---|
10A | 286.00円 |
15A | 429.00円 |
20A | 572.00円 |
30A | 858.00円 |
40A | 1144.00円 |
50A | 1430.00円 |
60A | 1716.00円 |
東京電力スマートライフプラン
1kWhあたりの料金(スマート契約) 一律450.00円
電力消費量(kWh) | 1kWhあたりの価格(円・税込) |
---|---|
0-120kWh | 19.88円 |
120-300kWh | 26.48円 |
300kWh以上 | 30.57円 |
午前6時〜翌日午前1時(昼間時間) | 25.80円/1kWh |
午前1時〜午前6時(夜間時間) | 17.78円/1kWh |
オール電化とは
そもそもオール電化とは、「オール電化住宅」を指します。一般的な家庭は、エネルギー源電気やガスの2種類でまかなっていますが、オール電化は家庭のエネルギー源を全て電気に一本化することにより、毎月エネルギー源にかかる料金を安くする目的があります。したがって例えばオール電化にする場合、キッチンをこれまでのガスコンロからIHクッキングヒーターなどのオール電化対応へ切り替えます。
オール電化の普及率
2016年の段階におけるオール電化の普及率は12.3%です(富士経済調べ)。エコキュートやIHクッキングヒーターの登場により、2009年には330万戸だったオール電化の家庭が、2015年には627万戸となり、2025年には939万戸まで達すると言われています。
オール電化は電気代を節約できるだけでなく、ガスよりも火災に対する安全性が高く復旧も早い特徴があります。近年災害が増加傾向にあることから、ますますオール電化に注目が集まることが予想されるでしょう。
ガスとIHの比較
電力の自由化がスタートし、近年徐々にオール電化に切り替える家庭が増えてきました。しかし、従来から変わらずガス(都市ガス)を利用しているご家庭もいまだに多く、これからIHに切り替えようか悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。
ここからは、都市ガスを利用するガスコンロと、電気で全て稼働するIHクッキングヒーターのメリットやデメリットについて具体的に解説します。
ガスコンロのメリット
ガスコンロの最大のメリットは、災害などにおいても停電の影響を受けないことです。また、火力が強いことから、中華鍋などの特殊な形の鍋でも満遍なく火を通すことができます。
ガスコンロのデメリット
ガスコンロは火を使うことから、場合によっては火事になる可能性があります。さらに周囲にゴミが溜まりやすく、IHに比べて手入れがしにくい特徴があります。
IHのメリット
IHは火を使わないことから、地震など災害があっても火事になる心配がありません。小さな子供やお年寄りも安心して取り扱えるメリットがあります。
IHのデメリット
基本的にIHに対応している鍋やフライパンしか利用できず、中華鍋や土鍋など対応できない調理器具があります。また安易にヒーターの上に手を置いてしまうと火傷してしまう危険があります。
ガスコンロ | IHクッキングヒーター | |
---|---|---|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
料金面での比較
ガスコンロからIHクッキングヒーターに切り替える際、気になるのはコスト面です。電力自由化の影響もあり、今より少しでも電気料金を安くしたいと考えているご家庭も多いのではないでしょうか。ここでは、ガスコンロからIHクッキングヒーターに切り替えるメリットとデメリットを紹介します。
ガスコンロからIHクッキングヒーターに切り替えるメリット
多くの電力会社がオール電化専用の電気料金プランを用意しているため、料金が安くなる可能性があります(東京電力のスマートライフプランなど)。
ガスコンロからIHクッキングヒーターに切り替えるデメリット
IHクッキングヒーターに切り替える場合、本体だけでなく工事費用やブレーカー設置費用などの初期費用がかかります。また、ライフスタイルによってはIHにすると高くなるケースもあるため注意が必要です。
おすすめ機器
電力の自由化が進むにつれて、近年環境に配慮した多くの機器やシステムが注目を集めています。ここからは、代表的な機器をいくつか紹介します。
エネファーム
エネファームは家庭用の燃料電池です。水素の酸素の化学反応により電気を生み出し、家庭用の電力を発電するシステムになっています。CO2の排出がないことから、環境に優しい発電システムとしてすでに多くの家庭で使用されています。
エネファームのメリット
エネファームのメリットとしては、エファームは家庭の敷地内に設置するため発電した電力をすぐに利用できます。また、変電所を経由しないので送電ロスが少なく、燃料電池を使用しているので発電する際にCO2や有毒ガスを出しません。 コジェネレーション機能が搭載されていることから、発電をしながらその排熱を利用して給湯も可能です。
エネファームのデメリット
エネファームは価格が高く、機器本体が200万円弱、工事費込みで250万円近くなるため誰もが簡単には導入できません。また、せっかく自家発電した電力を電力会社に売電することはできません。また寿命が約20年であるため、高価な割にな永久には思ったより長く利用できないデメリットもあります。
エコウィル
エコウィルとは、都市ガスやLPガスを利用してガスエンジンで発電を行うだけでなく、その際の排熱を給湯などに利用できる家庭用コジェネレーションシステムです。発電ユニットと給湯暖房ユニットの2つから成り立っています。ガスエンジンで発電機を動かすためエネルギーを効率的に利用できる特徴があります。
エコウィルのメリット
- 総合効率が高く火力発電や水力発電に比べてエネルギー利用率が高い
- 自宅で発電するっため送電ロスがほとんど発生しない
- ガス会社によってさまざまなエコウィルの割引が用意されている
- 補助熱源機との組み合わせにより湯切れの心配がない
エコウィルのデメリット
- 貯湯タンクがあるため設置するスペースが一定程度必要
- エネファームに比べて初期設置費用が安い
- 発電量が少なく、給湯器としての役割がメインである
- 太陽光発電と異なり、余剰電力を売電できない
エコキュート
エコキュートは、通称「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」と呼ばれています。ヒートポンプシステムにより空気の熱でお湯を沸かす給湯器システムです。自然界に存在する二酸化炭素を使用してお湯を沸かすことから、環境に配慮した給湯システムだと言えます。
エコキュートのメリット
- エコキュートは二酸化炭素を活用した環境に配慮したシステム
- 電気エネルギーの三分の一の消費量でお湯を沸かせる
- タンクの容量がいくつも用意されており、家族構成に合わせて選べる
エコキュートのデメリット
- 電気給湯器に比べて割高である
- 設置する場所が必要
エコジョーズ
エコジョーズは高効率ガス給湯器と呼ばれており、都市ガスやLPガスを燃料としています。排気ガスの中にある水蒸気を水に戻す際にできる凝縮熱(潜熱)を回収して再利用することによって、熱効率を高めています。
エコジョーズのメリット
- 従来のガス給湯器に比べて排気ロスが小さく、エネルギー効率が高い
- エネファームやエコウィルと比べて初期費用が安い
- ガス会社によっては割引が受けられる場合がある
エコジョーズのデメリット
- エコキュートやエコファームほどの節約効果はない
- 通常のガス給湯器より高い
- 設置の際に別途工事が必要
食器洗い乾燥機
食器洗い乾燥機を導入している家庭が徐々に増えています。自ら食器を洗う必要がないため便利な機械ですが、その一方で手洗いの場合よりもお金がかかりお得ではないという声もあります。食器洗い乾燥機は果たして本当にお得なのでしょうか。
食器洗い乾燥機の省エネ度
「家庭の省エネ「大辞典」(省エネルギーセンター)によれば、食器洗い乾燥機と手洗いとの年間コストは以下の通りになります。
種別 | 手洗いの場合 | 食器洗い乾燥機使用の場合 | 差異 |
---|---|---|---|
年間ガス/電気使用量 | 年間でガス81.62㎥ | 年間でガス525.20kWh | 比較保留 |
年間水道使用量 | 年間で水道47.45㎥ | 年間で水道10.80㎥ | 手洗いの方が36.65㎥多い |
年間合計費用 | 22,080円 | 14,020円 | 手洗いの方が年間8,060円多い |
上記のデータによれば、手洗いよりも食器洗い乾燥機を利用した場合の方がお得度が増す結果になっています(ただし上記は1日2回、給湯器の場合は40度設定で1回につき65リットル使用した場合を想定しています。食器洗い乾燥機の場合は、給水接続タイプで標準モードを使用した場合を想定しています)。
しかし必ずしも食器洗い乾燥機の方がお得になるとは言えず、一人暮らしや老夫婦など使用する水の量が少ない家庭の場合は手洗いの場合の方がお得になる可能性もあります。各家庭の状況に合わせていずれかを選択することが大切になるでしょう。
まとめ
オール電化対応の機器も豊富に発売されており、徐々にオール電化に切り替える家庭が増えてきています。しかしオール電化にするとお得だとは一概に言えず、家族構成や使用状況などによればこれまで通りガスや水道で対応する方がお得な場合もあるでしょう。
まずはご自身の家庭の電気やガス、水道の利用状況を正確に把握して、メリットやデメリットを見比べながらオール家電がお得になるのか判断することをおすすめします。